実家にいるので中断中です、夏の漫画祭り。
本来はフルサイズ版で読むべきだと思いますが。
ああ、文庫版を読むあたり、私も「時間貯蓄家」なのかしら…
はじめのうちは気がつかないていどだが、
ある日きゅうに、なにもする気がしなくなってしまう。
なにについても関心がなくなり、
なにをしてもおもしろくない。
この無気力はそのうちに消えるどころか、
すこしずつはげしくなってゆく。
日ごとに、週をかさねるごとに、ひどくなる。
気分はますますゆううつになり、
心のなかはますますからっぽになり、
じぶんについても、世のなかにたいしても、
不満がつのってくる。
そのうちにこういう感情さえなくなって、
およそなにも感じなくなってしまう。
なにもかも灰色で、どうでもよくなり、
世のなかはすっかりとおのいてしまって、
じぶんとはなんのかかわりもないと思えてくる。
怒ることもなければ、
感激することもなく、
よろこぶことも悲しむこともできなくなり、
笑うことも泣くこともわすれてしまう。
そうなると心のなかはひえきって、
もう人も物もいっさい愛することができない。
ここまでくると、もう病気はなおる見こみがない。
あとにもどることはできないのだよ。
うつろな灰色の顔をしてせかせか動きまわるばかりで、
灰色の男とそっくりになってしまう。
そう、こうなったらもう灰色の男そのものだよ。
この病気の名前はね、
致死的退屈症というのだ。
(エンデ『モモ』P.360)
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